年齢を重ねるにつれて判断能力が衰えるのは仕方がないことですが、生活や財産管理などいろいろ不安も多いです。そんなときのために、あらかじめ支援してくれる後見人を決めておくと安心かもしれません。
おひとりさまとは、同居する人がいない状態のことをいいます。
生涯独身の人や死別・離別などおひとりさまになる理由はさまざまで、ひとり暮らしをする65歳以上の人も増えています。
おひとりさまが元気な間はお金や時間を自由に使えるというメリットがありますが、いざ病気や介護が必要になったとき、また、年老いた両親の介護に明け暮れる毎日を過ごすうちに、ふと、自分の身のまわりの世話は一体誰がしてくれるのだろうかと心配になってしまいます。
50歳時の未婚割合の推移
厚生労働省ホームページより
少しデータは古いですが、2015年の国勢調査によると生涯未婚率(50歳までに結婚したことがない人の割合)は男性23%、女性14%にのぼり、今後さらにおひとりさまは増加すると予想されます。
高齢であるほど、女性は経済的不安が強く、男性は経済面以外にも社会からの孤立、生活能力の無さなどに深刻な不安を抱えている人も多いようです。
例えばこんな方々です。
太郎さんは今年70歳になります。身寄りがなく、一人暮らしをしています。
「今のところは体は元気で生活に不自由はありません。でも、近い将来、自分の財産や身のまわりのことがどうなるか、とても不安です。」
花子さんは、知的障がいを持つ子どもの母親です。
「私自身が高齢なので、私が亡くなった後の子どもの生活が心配です。」
任意後見制度をご存じですか?
任意後見制度とは、将来、自分の判断能力が衰えたときに備えて、あらかじめ支援者(任意後見人)を選んで支援内容を決めておく制度です。
将来の財産管理や身のまわりのことなどについて「こうしてほしい」と具体的な自分の希望を支援者に頼んでおくことができます(任意後見契約)。
「任意」という意味は、「自分で決める」ということです。
万一のときに、「誰に」、「どんなことを頼むか」を「自分自身で決める」しくみなのです。
任意後見人は複数でもOKです。
例えば
・ 大事な権利書や預金通帳を預かって管理してください。
・ 生活費は貯金の中から、毎月〇万円をあててください。
・ 病気になったら△△病院に入院したいので、その手続きをお願いします。
任意後見契約の手続から開始まで
法務省ホームページより
任意後見契約は、公正証書でする必要があります。契約にあたっては、契約の内容を事前によく検討することが重要です。
本人の判断能力が低下したとき、本人または任意後見受任者が家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立をします。
任意後見契約は,家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から効力が生じ、任意後見受任者は任意後見人となり契約で委任された事務を本人に代わって行います。
また、任意後見監督人とは、任意後見人が任意後見契約の内容どおり適正に仕事をしているかを監督する人で家庭裁判所によって選任されます。
さて、契約をしたものの判断能力が低下するのは、果たして何年後?
今現在は元気だけれど、まったく不安がないわけではない。。。
任意契約ではご要望により、見守り契約・財産管理等任意契約・死後事務委任契約、遺言書の作成などのサポートを受けることができます。
見守り契約:ご本人に変わりがないか、現状の様子を確認することが主な支援です。常に依頼者の状況を把握し、異変にいち早く気づくことで、適切な時期に「任意後見契約」の手続を行える利点もあります。
財産管理等委任契約:身体上の不調などの理由から自分の財産を自己管理できなくなった場合を想定して、自分の代わりに財産の管理を他人に委ねるための契約です。
死後事務委任契約:葬儀、永代供養、死亡後の諸手続、家財道具の処分、周囲への逝去の連絡など。
以上の契約は、いつでもやめることができます。
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無料の面接相談も行っています。
任意後見制度の利用方法|成年後見制度とは|リーガルサポート (legal-support.or.jp)
また、リーガルサポートでは成年後見に関する動画を作成し、YouTubeで公開しています。
ご興味のある方はぜひご覧になってみてください。
◇リーガルサポート物語 第一話
法定後見「想いをつなぐ後見リレー」(所要時間16分30秒)
◇リーガルサポート物語 第二話
任意後見「想いを託す任意後見」(所要時間14分46秒)
リーガルサポートは、高齢者、障害者等が自らの意思に基づき安心して生活できるように支援し、それのよって高齢者、障害者等の権利の擁護及び福祉の増進に寄与することを目的として、全国の司法書士によって設立されました。
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