今は夫婦合わせた年金でどうにか暮らしているけれど・・・。
私は専業主婦なので、月に5万円ほどしかないわ。
夫が亡くなってしまったら、どうしよう・・・。
そういうふうに不安に感じている方も多いと思います。
今回は、夫は会社員または公務員、妻は専業主婦だったご夫婦が、今は年金で生活している(お二人とも65歳以上)という家庭を例にして、夫が亡くなった場合に妻が受け取れる年金について解説します。
年金の受給額について
老後の生活を支える上で中心となるのは年金ですが、その受給額はおおよそ以下の通りとなります。(「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 ~厚生労働省~」 より)
◇会社員または公務員だった夫
老齢基礎年金(月額) : 平均で約5万9千円
老齢厚生年金(月額) : 平均で約10万4千円
したがって、両方を合計して 平均 約16万3千円
◇専業主婦だった妻
老齢基礎年金(月額) : 平均で約5万4千円
※専業主婦であっても、結婚前などに会社員、公務員として働いた期間があれば老齢厚生年金も受け取ることができます。
この金額はあくまでも平均で加入年月や給与などによって変わります。また、ここから税金や社会保険料が引かれますので、実際の手取り額はこれらの金額より少なくなります。
夫が会社員・公務員の場合、遺族厚生年金がもらえます
それでは、年金生活をしている夫婦が配偶者に先立たれた場合はどうなるのでしょうか?
残された妻が受給できる年金は、遺族基礎年金と遺族厚生年金になります。
このうち、遺族基礎年金は18歳までの子供がいる夫婦が対象となるので、今回の例に挙げた夫婦にはおそらくあてはまらないでしょう。
① 妻が厚生年金に加入していない場合
(会社員、公務員として働いたことがない場合)
元々受給していたご自分の老齢基礎年金にプラスして遺族厚生年金を受け取ることができます。
② 妻が厚生年金に加入していた時期があった場合
元々受給していたご自分の老齢基礎年金と老齢厚生年金にプラスして遺族厚生年金を受け取ることができますが、遺族厚生年金は全額ではなく、老齢厚生年金との差額だけを受給できることとなります。(下図「※」の部分はカットされます)
もし、遺族厚生年金がご自分の老齢厚生年金よりも少ない場合は、遺族厚生年金は全額カットされ、元の通り、老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給することになります。妻が専業主婦でこのような例はあまりないとは思いますが。
遺族厚生年金の計算方法は?
遺族厚生年金は以下のように計算します。
また、上記②のように妻が厚生年金に加入していた場合は、
式①の結果と式②の結果のどちらか多い方となります。
ここで、式①、式②の中の「報酬比例部分」は以下の計算式で表されます。
※「平均標準報酬月額」は、平成15年3月までの被保険者期間の各月の「標準報酬月額」をすべて足し合わせて、平成15年3月までの被保険者期間の月数で割った金額です。
※「平均標準報酬額」は、平成15年4月以後の被保険者期間の各月の「標準報酬月額」と「標準賞与額」をすべて足し合わせて、平成15年4月以後の被保険者期間の月数で割った金額です。
報酬比例部分、標準報酬月額などを調べるには
「報酬比例部分」はねんきん定期便で、「標準報酬月額」と「標準賞与額」はねんきんネットで、それぞれ確認できます。
ねんきんネットを使っていない人はこれを機会に登録してみるのも良いでしょう。
日本年金機構のウェブサイトから新規登録ができます。
ねんきんネットを使えば、ねんきん定期便をダウンロードすることもできますよ。
また、お近くの年金事務所に相談する方法もあります。
年金のご相談(電話・窓口)|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
年金について、金額の計算は難しいですが、ご自身の老齢基礎年金、老齢厚生年金に加えて、夫が会社員、公務員だった場合は遺族厚生年金が受給できることは分かっていただけたと思います。
このコラムを読んで、少しは安心してもらえることができたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。